知っていますか?中性脂肪の基準値

健康診断の検査項目でもある中性脂肪値。
高いと良くないことはなんとなくわかるけど、具体的にどんな影響があるのか、いくらから高いのか知っている方は少ないのではないでしょうか?
今回は中性脂肪の基準値や中性脂肪が高いことによるリスクを解説いたします。
人の血液中には4種類の脂質が存在しますが、その中の1つが中性脂肪です。中性脂肪以外はコレステロール、リン脂質、脂肪酸が存在しており、中性脂肪はしばしばコレステロールと混同されがちですが、中性脂肪は主にエネルギー源としての役割があります。
一方コレステロールはホルモン合成や胆汁酸の材料としての役割を担っています。
体のエネルギー源というと糖質が思い浮かぶかも知れませんが、糖質は体内に入ると即効性のエネルギー源として使われるのに対し、中性脂肪は体脂肪として体に貯蔵することができる特徴があります。
前述したように中性脂肪は体にとってエネルギー源としての役割があるため、必要不可欠なものではありますが、多すぎると全身で様々な問題を引き起こすリスクにもなります。
中性脂肪が過剰でも自覚症状を感じることがないため、健康診断で初めて高値であることに気づくことが多いでしょう。
具体的にどんなリスクがあるのか紹介します。
中性脂肪が増えすぎると内臓脂肪として蓄積されやすくその結果、内臓脂肪面積が100㎠を超えると、100㎠未満の場合と比較して高血糖、脂質異常症、高血圧などの合併症の疾患数が50%も上がるというのです。
中性脂肪が高いとLDL-コレステロールも増えやすく、動脈硬化につながります。動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞の脳血管疾患のリスクが高まります。
中性脂肪の高値は生活習慣病と呼ばれる合併症を引き起こしたり、動脈硬化など自覚症状があまりない影響を及ぼすのが恐ろしいところです。
中性脂肪の基準値は50-149mg/dlとされており、150mg/dl以上になると脂質異常症と診断されます。
中性脂肪が高い場合には、コレステロール値や血糖値にも注意すべきです。
HDL-コレステロールの基準値は男性で40-75mg/dl以下、女性で40-87mg/dl
LDL-コレステロールは70-139mg/dl
血糖値は空腹時血糖(GLU)で78-109mg/dl
HA1cで4.2-6.2%となっています。
中性脂肪値は日頃の生活習慣の影響を受けやすいため、日常的に気をつけるだけでリスクを下げることができます。
過剰なエネルギー摂取は中性脂肪の増加につながります。
食事の間隔を空けすぎたりすると中性脂肪の合成が活発になるため、1日3食規則正しく、適度なエネルギーの食事を心がけましょう。
アルコールの過剰摂取は肝臓で中性脂肪を合成するので量を減らしたり、休肝日を作るようにしましょう。
運動不足は摂取エネルギーを消費しきれなくなるうえ、基礎代謝が低下し血中中性脂肪や内臓脂肪を効率よく燃やすことができなくなります。
ウォーキングなどの有酸素運動で全身の血行を良くすることで糖質の代謝も良くなります。続けられる強度で毎日継続しましょう。
あまり自覚症状のない中性脂肪ですが、正しい知識を取り入れて健康診断で気付く前にご自身の生活習慣を見直すことが大切です。
※参考文献
古畑公/木村康一/岡村博貴/望月理恵子(2019)『栄養学の◯と×』誠文堂新光社
吉田企世子/松田早苗(2019)『あたらしい栄養学』高橋書店