中性脂肪が高くなる原因

「中性脂肪が高い」と聞くと太っている人が当てはまるイメージがあるかも知れません。しかし、一見痩せている方でも健康診断結果で中性脂肪が高いと注意されてしまったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、今回は中性脂肪が高くなってしまう原因について紹介いたします。
健康診断の検査項目でもある中性脂肪値は血中の中性脂肪(トリグリセリド)の量を調べる検査です。
中性脂肪は体内に最も多く存在する脂肪で、砂糖などの糖質(炭水化物)、動物性の脂肪をエネルギーとして脂肪に変化したものです。
同じく血液中にある脂肪であるコレステロールと混同されがちですが、2つの働きは全く違うものです。中性脂肪は血液の流れに乗って全身に運ばれ、エネルギー源として消費されます。一方コレステロールはホルモンや胆汁酸の材料となり、主に細胞を構成する成分のひとつでエネルギー源にはなりません。
中性脂肪の基準値は150mg/dl未満とされており、この値を超えると、脂質異常症と診断されます。その症状は目立ったものがなく見つかりにくいことも多いですが、中性脂肪が高い状況が続くと血液がドロドロになることで高血圧になったり、動脈硬化、糖尿病、腎臓疾患、脳疾患、心疾患などが疑われます。同時にL DLコレステロールの値が高いと、糖尿病や心疾患のリスクが更に高まります。
一般的に食事や生活習慣により高値を示す場合が多いです。
・主食(炭水化物)の摂取過剰
→炭水化物から合成された中性脂肪はエネルギー源として使われますが、余分な中性脂肪は脂肪組織に蓄積されてしまいます。炭水化物の過剰摂取は中性脂肪の増加だけでなく肥満につながります。
・間食のボリュームが多い、清涼飲料水(炭酸飲料、甘いコーヒー、ジュースなど)を良く飲む
→お菓子やジュースなどの飲み物に含まれる砂糖(ショ糖)は50g以上摂取すると中性脂肪値を上げてしまいます。
水分補給にジュースや甘いコーヒーを飲んだり、ついスナック菓子を食べすぎてしまう方は要注意。
・お酒を飲む量や頻度が多い
→アルコールを過剰に摂取すると肝臓で中性脂肪の合成が進むため、飲酒を控えるだけでも数値の低下が期待できます。
・果物(特に夜)の過剰摂取
果物には果糖が多く含まれます。果物には健康に役立つ成分が豊富に含まれるため適量(200g程度)を心がけて食べるようにしましょう。また、食べるなら摂取した糖分を消費しやすい朝がおすすめです。
・揚げ物など油の多い食事が多い
→油を極端に減らすのも良くないですが、揚げ物に使われる油やマーガリンなどのトランス脂肪酸は好ましくありません。
・運動不足
→摂取エネルギーを消費しきれなくなるうえ、中性脂肪や内臓脂肪を効率よく燃焼させる作用が低下する原因になります。
・喫煙習慣がある
→タバコに含まれるニコチンが中性脂肪の合成を促すホルモンの分泌を活性化させるという報告もあります。ニコチンが少ないタバコや電子タバコなども増えていますが、これらにも有害な化学物質が含まれており、体への悪影響は少なからずあります。
以上のことが中性脂肪値が上がる原因としてする生活習慣があげられます。
そのため、上がってしまった中性脂肪値を下げるには生活習慣を改善することが第一優先です。
一度自身の生活習慣を振り返り、出来ることから少しずつ改善していきましょう。
※参考文献
古畑公/木村康一/岡村博貴/望月理恵子(2019)『栄養学の◯と×』誠文堂新光社
吉田企世子/松田早苗(2019)『あたらしい栄養学』高橋書店